ご挨拶
そして立ち止まっていた時間に想うこと
今年の秋、3年ぶりに開催いたします!
とは言っても感染症対策をしての開催のため解決すべき問題は山積みですし、状況によっては中止にせざるを得ない可能性もあります。
『開催します』と宣言しづらい状況ではありますが、第12回灯しびとの集いの開催に向けて動き始めています。
人が生活の為にモノを作るのは当たり前の行為ですが、大量生産、大量消費を繰り返すうちにそれは当たり前では無くなりました。
私たちが灯しびとの集いを始めた2008年当時は雑貨屋さんなどではわざわざ『手作り』というシールが貼られるくらい手仕事は特別で、そこに焦点が向けられる事は少なかったように思います。それがこの十数年で、作り手がメディアに取り上げられる機会が増えたりSNSで個人が情報を発信したりする事で、随分と浸透してきた印象があります。
一方、選ぶ側(使い手)として考えると、飛び交う情報に流されずにそれぞれの生き方に沿ったモノを「選ぶ、買う、生活に取り入れる」ための軸となる知識や経験をもち目利きができることは、一見ささやかな行為ですが、私たちがどうありたいのかという意思と密接につながっています。
『物買ってくる、自分買ってくる』
河井寛次郎の言葉です。どんなモノに囲まれて生きるのかは、私達にとってとても大きな意味を持ち、その人の生き方や信念そのもの。
特に、優れた作家が作るモノは作者の人生観だけでなく風土や時代性が投影されていたり、素材にフォーカスしていたり、それらを裏付ける磨き上げられた技術が在ります。
それを選ぶ喜びと知る感動こそ、近年のクラフトブームを支えている事は言うまでもありません。
そして、コロナ禍でインターネットで情報を得て買い物をする事が当たり前になった今こそ『実際に優れた作り手に会い、話を聞いて、選ぶ』という機会に意義を感じます。
奇しくも灯しびとの集いは、いにしえの海で船の航路を照らしてきた日本最古の木造の灯台をイベントのモチーフにしてきました。ここでの多くの出会いが、それぞれにとっての本質に出会う道標になればと願っています。
これらの想いを持って、ふたたび申し上げます。
この秋、灯しびとの集いを開催いたします。大仙公園でお会いしましょう!
灯しびとの集い 実行委員会
会長 八田亨